手のひらの汗

彼は異常に手のひらに汗を掻く人だった。


私は手を繋ぎたくて嫌がる彼にお願いした。


5回に1回の割合だったか手を繋いでくれた。


しかし掻き始めるとすぐ手をほどいてしまう。


そのほどかれる感触がたまらなく寂しかった。


どんなに汗を掻いても気にならないと言っても嫌がる。


酷くなると汗がポタポタと落ちるくらい出るからと言って。


確かにそれはコンプレックスに思うだろう。


いつかコンプレックスを解消できる存在になれたら、
コンプレックスから救えたらなんて図々しく考えていた。


ある日彼から別れようと言われた。


認めたくなくて拒否した。


彼の決意は固かった。


受け入れなければと決めた時、テーブルを見ると水浸しだった。


こんなに汗が出たのを見たのは初めてだった。


ごめんね、と呟いた。


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